月ときなこと宝塚

宝塚は幸せの歌

月組『応天の門』『Deep Sea』感想②

 先日は『応天の門』の感想しか書けなかったので、今日は『Deep Sea』の感想を。

また長いです…。千秋楽の配信を見る前にどうしても観劇の感想をまとめておきたくて、ほとんど書き散らすように書いてしまいました。あと、少しネタバレがあると思います。

 

 客席が明るいうちから緞帳が開いて、舞台には大きな青い月と、波の音。ショーが始まる前って本当にわくわくします。

 場内が暗くなって、オープニングは映像と光月るうさんナレーション。

 

 そしてプロローグ。2階席だと、オーケストラピットのほのかな光が見えるので、暗闇の中をわっさわっさと歩くジェンヌさんのシルエット(とくに月城さんの頭の羽根)が見えて、ふふっ…となりました。

 洋風チョンパで始まる月城さんの第一声はクライマックス感あふれていて、最初からこのテンションに持ってくるのってすごいなと思いました。みんながスパンコールの衣装で、笑顔もキラキラしていて、一気に幸せな気持ちに。青い衣装の袖や裾についた白のフリルは踊る波しぶきのようで、ああ、海辺から始まって、これから海の中へDiveしていくのね!と楽しみになった(映像ではすでに深海だったかもしれない…)。

 と、全体を見られたのはここまでで、風間柚乃さんが歌い出すと、また風間さんばかり見ていました。生き生きしていて、表情が豊かで、何より楽しそう。基経のような重い役や悪い役を演じるのはしんどいこともあると思うのですが、そういうときにこういう明るいショーが付いているのはいいですね。

 風間さんと組んで踊る娘役さんを見るのが好きです。娘役さんを見つめる風間さんも。彩みちるさんが楽しそうでうれしくなりました。娘役さんが幸せそうだと、何だか親のようにありがとう!と思ってしまう。そして、風間さんも幸せでありますように…といきなり祈り始める。気がつくと、銀橋で月城さんと風間さんがハイタッチしていた。

 

 吟遊詩人と人魚のディスコの場面。テレビで見ていた「ちなつさん」という大スターを改めて見ている気分に。海乃さんが入っていた人魚のセットが面白い。娘役さんたちを見ていたら、いつのまにか鳳月さんが着替えていた。娘役さんが出ていると、そちらばかり見てしまう長年の習性が抜けません(風間さんは本当に例外)。ここの娘役さんたちのダンスがかっこよくて好きだった。あと、オペラで見たら光月さんがとてもいいお顔で踊っていて、つい見入ってしまった。

 

 月城さんが真珠ちゃんたちと銀橋へ。みんなキュート。月城さんが遊び人みたいで愉快でした。真珠の衣装の結愛かれんさんが信じられないほどチャーミング。見にきてよかった…。

 ジャンケンの場面は、コミカルだけれど音楽がおしゃれでいいなと。白いスーツの風間さんがとてもかっこよく、かつ面白かった。ジャンケン付近の記憶がありません…。気がつくと、風間さんと結愛さんが踊っていた。結愛さんが風間さんをキックするような振りがあるのですが、思い切りがよくて愛嬌たっぷりで、それを受ける風間さんのリアクション込みでとても好き。お二人が本当に楽しそうで、幸せになりました。

 そういえば、真珠の女王のような海乃さんが優しいお姉さんだった。落ち込んでいる月城さんに、「パー、あいこよ。大丈夫」とでも言っているようで、ちょっとおっとりワンテンポ遅めに「パー」と手を合わせるところがかわいかった。

 

 中詰め。礼華はるさん、天紫珠李さん、彩海せらさんが銀橋に来て、楽しくなって…記憶が飛びました。礼華さんがすごく声が出ていたのと、天紫さんと彩海さんのカップルが新鮮だったのと…。

 黒スーツの月城さんを赤スーツの男役さんが囲んで踊るところ、音楽がだんだん盛り上がって最高潮のところでみなさんがわーっと銀橋に出てくるの、最高ですね。月城さんは緩急のメリハリが絶妙で、ここ!というタイミングで声が飛んでくるのがとても気持ちよかった。

 歌い継ぎは、例によってほとんど風間さんしか覚えていない…。銀橋で自由自在に動き回って、見ていて楽しいことこの上ない。思いも寄らぬタイミングでウィンクを飛ばしていた。毎回ファンサコーナーになるという上手花道の退場シーンは、2階席後方ではよく見えませんでした。

 最後、みんなが銀橋に出て、カルナバルはまだまだ続くよ~と歌う歌が好き。本当、ずっと続いてほしい。そして暗転かと思ったら、ここで若手のみなさんの爆踊りが入るんですね! 勢いがあって素晴らしかった。菜々野ありさんのダンスが好き~と思ってオペラを見たら、瑠皇りあさんのシャープな美貌が飛び込んできてびっくりした。吉祥丸とのギャップ…。

 

 そしてうわさの「秘密の花園」。風間さんの歌を、初めて生でこんなに長く聞きました。声が本当にいい。音源や配信で聞いていたどんな時よりも声が深く響いてきて夢みたいだった。あまりに音が心地よくて、歌詞をまったく覚えていない…。もう一度、歌詞も感じつつ見てみたかった。高音がまたきれいで、前に2021年「Xmas Dream Box」収録の風間さんの「奇跡を望むなら」を聞いて、なんて透明感のあるきれいな声だろうと思ったので、生で聴けて感動しました。

 あと、壇に手をついて降りてくる姿がとてもかっこよい。『応天の門』では止め絵が美しい印象だったけれど、動きも美しい。それにしても、あんなふうに垂直方向に動きのある場面って、あまり見たことがなくて新鮮でした。

 月城さんと鳳月さんはどこへいった…という感想で恐縮なのですが、最初のほうは、がんばって見ようと思ったんです。でも、どうしても風間さんを見てしまい、途中で「お二人は配信で見よう」と諦めました。すみません…。

 

 そしてレクイエム。海乃さんの力強い歌。ここは、何に対する鎮魂歌なんだろう? …と、オペラで後ろを見ると、美しい彩音星凪さんの踊り(と顔)。

 マントルの場面。物語性を抑え、純粋なダンスのエネルギーを感じられる場面でした。それでも見ている側が勝手に物語を付けてしまうのですが、それも許してくれるような懐の深さがある感じ。躍動感あふれるダンスも、エネルギーが飛んでくるようなコーラスも素晴らしかった。月城さんが何だか発光していて、鳳月さんが大きく見え、退団者の皆様のタカラジェンヌ時代に一度だけでも立ち会えたことを光栄に思いました。

 そして、一心に踊っている風間さんに感動した。何年も劇場に来なかった私を、また宝塚に連れてきてくれてありがとう。

 

 その後、みなさんが退場して月城さんがひとりで歌った歌が、何だかとても心に響きました。去り際に、誇らしげにロケットへ笑顔を送っていったのも。

 ロケットは、泣きそうになった。みんなキラキラしていてエネルギッシュで、まさに青春の輝き。ああ宝塚を見ているんだと実感しました。2階から見るとフォーメーションもよくわかって面白い。そしてオペラをのぞいて思い出す。私は咲彩いちごさんのかっこいい脚が好き(『FULL SWING!』のエトワールを見て惚れ惚れした)。

 

 フィナーレ。ベサメムーチョが聴けてうれしい。月城さんは娘役さんに囲まれているの似合いますね。トップスターを囲むときの娘役さんたちは、いつも以上に矜持のようなものを感じて好き。

 そして白い黒燕尾(?)。威勢のいい掛け声が音楽にはまっていて気持ちいい。そして風間さんがかっこいい(もうそればっかり)。最後にもう一度みんなで銀橋に来てくれてうれしかった。1階で見ると大迫力なんでしょうね。月城さんの両脇にドミノのように男役さんたちがのけぞっていくのですが、みんなすごい腹筋&背筋だなと感心してしまった。

 月城さん退場後、鳳月さん中心の場面。自由な感じがとてもいい。最後まで元気いっぱいで表情豊かな風間さんが本当に楽しそうでした。鳳月さんと風間さんが組んでいるところをもっと見てみたい気がします。

 最後のデュエットダンス。タンゴらしいドラマチックな振りで、月城さんが男らしく、海乃さんの体のしなやかさがすごいなあと思って見ていました。手荒な振りが少しだけ苦手なのですが…でも見応えのあるデュエットでした。

 

 エトワールは、私が見た日は天愛るりあさんでした。美しく力強く歌い上げられていて、誇らしい気持ちになりました(娘役さんを見るとよく勝手に誇らしくなる)。

 パレードって、いいですね。あのスパンコール衣装がまた見られてうれしかった。猫じゃらしのようなシャンシャン?もかわいい。両側のコーラス隊の声が元気いっぱいで微笑ましかった。そして最後まで、風間さんの歌は自由で楽しかった。いろんな表情の風間さんが見られた公演でしたが、パレードでは何だかかわいらしくて、本当に魅力的な男役さんだなあと思いました。

 

 前回に輪を掛けて長くなってしまいました。これでも記憶が飛び飛びなのですが…。千秋楽の配信で全体像を見るのが楽しみです。

 今回、5年ぶりの宝塚観劇でしたが、本当に最高でした。個人的にここ数か月仕事がとても忙しくて疲弊していたのですが、生き返ったように元気をもらいました。今も思い出すだけで元気が出ます。宝塚の力はすごいですね。